1. HOME
  2. ブログ
  3. もろもろ
  4. アーティストの心を持て

BLOG

IT経営ブログ

もろもろ

アーティストの心を持て

 皆さんは、毎日の仕事をするときにアーティストの心をもって取り組んでいるだろうか。

「うちの商売はお客さまのご要望にきっちりと応えることです」「顧客満足度を高めることに気を配っています」「ええ、それが一番大切なことです」などという言葉が聞こえてきそうである。

そういう人にこそ、「アーティストの心を持つ」ことを考えてもらいたい。

ここでいう、「アーティストの心を持つ」とは、自分で考える、新しいことに取り組む、世界観を広げる、世に問う、未来を示唆する、という意味である。

いま、ビジネスを取り巻く環境は激変し、顧客だって先が予測できない。彼らの要望に沿うだけでは、それこそ力がついていかない。だからこそ、自分はこうあるべきだと思う、時代はこうなると考える、そうした意志を持つアーティストに変化していかなければならないのだ。ダーウィンも言っている、「環境の変化に対応するものだけが生き残る」と。

 守破離の「離」、すなわち違う土俵を作ることを意識していかなくては、やがて扱いに困る人になってしまう。

 反対語は、「言われたことだけをやる」「失敗すれば人のせい、状況のせいにする」などである。

 我々ITの世界でも、昔は「プログラマ35歳定年説」が言われていた。確かにプログラマだけをずっとやっているとそうなる。新しい技術を覚えるのは若い人が早いし、だんだん取り残されていくのは必然だ。違うスキルや積んできた経験を、知見として活かせるようにならないとやがて淘汰される。

 

 懇親会で、そんな話をした帰路。「今日はいい話ができたな」「違う仕事をしている人でも同じ危機意識を共有できるのだな」と銀座線で語り合った。

 渋谷駅に着いて、この上に3階部分の歩行者デッキができるのかと見上げた。それぞれ特徴的な形をした個々のビルを、4層にもなるデッキでつなぎ、地元商店会の人たちも入れて異なった個性を溶け込ませた全体として構築するという発想で、100年に一度と言われている渋谷再開発をすすめた建築家、内藤廣さんに思いをはせ、また島根には、周りの瓦と同色の壁に懐かしさを感じる、美術館と劇場が融合した「グラントワ」、高地には、月日と共に森に隠れていく建築を目指して、山の斜面に目立たないように作られた「牧野富太郎記念館」があったなと想起し、こういうことが正にアーティストの心をもって仕事することだと改めて感じたのである。

 そして、牧野富太郎記念館のように、私も目立たず世の中に溶け込むように生きていきたいと願いながら、道玄坂を登って家路を急ぐ夜更けであった。

関連記事